事件(過去)を言葉に変えるときに起こること

精神科医 斎藤学先生のチャンネルから、重要なところを抜粋して記事にしています。

話すことと聞くことのセットによって、事件は言葉に移されます。言葉に移すとそれだけ事件の持っている生々しさ…、生々しさののほとんどは言ってみれば水分です。1つの和紙に事件が墨で書かれているとしましょう。それが水に含まれていて重い。こういうときが生々しくて言葉になりません。

喋るというのは、人の目につくように高いところに貼るのに似ています。水分を含んでいるからベタッとくっつけられます。読みにくいんですけど読もうとすれば読める。それが話すことにあたります。それを読む人、つまり話を聞く人がいる。そうやって一度話されたことはそのまま壁みたいなところに貼っつけてある。そうするとだんだん風が吹いてきて水分が飛んで行く。なぜなら一度聞いた人はその話を覚えますから。また次の話があるとそれがまた同様の内容か、少し違った内容が貼られて、また風にさらされる。

だいたい一人の人の同種の受難というのは同じ構造を持っています。その『同じ構造を持っているんだ』ということを話をした形で壁に貼り付けることによって当人は納得するんです。聞くということは一見まったくpassive(受け身)なようですけど、和紙に書かれた情報を壁に貼り付けるという作業をしています。『作業をしているようにして聞く』という聞き方があるんです。それはもちろん読んだ内容について十分知った状態で2回目の事件、3回目の事件を聞くわけです。で、繰り返し繰り返しそれを聞きます。

では、「週に7回来ると、7倍早くよくなるのか」というと、そういうものでもない。話すたびに後悔したり、言い落としたり逆に盛ったりということがありますから、それをまた修正したりする時間が必要です。

それである程度の期間が経つと確実に階段を上がっていて、様子は違わないし死にたい気分はもっと大きくなったりする事があるんですが、私はそれにはたじろがないです。「彼女は話せているから大丈夫」という風に思います。

その間に当人としても大変なリスクを賭けてやるから当然ご家族との関係とかは返って悪化するわけです(機嫌を悪くして帰宅するため、受難者が母親になることが多い)。

大切なこと

良き(共感的)聴衆にめぐまれること(聞き手がいることの重要性)。

安全な場であること。

語ることを続けること(事件の反復を止める)。

斎藤学先生が用意した語る場所

PIAS麻布コレクティブ 斎藤ミーティング(先生が主催するミーティング、初心者は土曜日のワークショップが参加可能)

JUST日本トラウマサバイバーズユニオン ミーティング(先生が作った自助グループ、充実したプログラム)

1人で思考を巡らせることから、『作業をしているようにして聞くことのできる他者』の中で語る。「悩みは恵み」と言います。人に出会うチャンスをぜひ掴んでください。

この記事を書いた人

東谷ひとみ 公認心理師

PIAS麻布コレクティブ 所属 

カウンセリング 平日 50分 3000円〜  土日祝 50分 3500円〜 室料別途 1000円(2024.12.14現在)

50分を自分のために使い、そのとき頭に浮かぶことを自由にお話ししてみてください。

詳しくは『自己紹介』まで。

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