東の 野に炎の 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ

柿本人麻呂(宮廷歌人)

「東の空は曙の太陽の光が差してくるのが見え、振り返って西を見ると、月が西の空に沈んでいこうとしている。」

この歌を単なる情景歌として見るのであれば、「空の東の方角に太陽が西の方角に月がある」というだけですが、実は、この歌は情景歌と見せかけて非常に大きな意味を潜ませた歌なのです。

この歌は、軽皇子(かるのみこ:のちの文武天皇)のお供で、阿騎野(あきの:奈良県宇陀郡にあった野原のこと。狩りをする場所でした)に随行したときに柿本人麻呂が詠んだ歌です。

季節:冬、12月の半ば

時間:夜明け前 曙の光と、沈みゆく月

軽皇子(かるのみこ)を東の空の太陽に、軽皇子の亡くなった・草壁皇子(くさかべのみこ)を沈みゆくに見立てて、父は不幸にして世を去ったが、あとを継ぐ息子が立派にこの世を治めていくことを述べた歌であるとされます。

この歌は、世を統べることになる軽皇子を称える歌ですが、そのことを外して情景歌としてみても、非常にスケールが大きく、広大な宇宙を詠み込んだ雄大な歌です。

情景歌としてもすぐれているという、この歌の独立性が1300年以上の時を経て、多くの人々に愛されている要因の一つであるといえます。

(参考HP:短歌の教科書

かえり見とは、広大な空間の東西を結ぶ中心にあるということ、そして古代と今の時間的な流れの中心にあるということ。

この地を世界の中心として描き出し、天皇が登場する前兆とした歌である。

(参考HP:短歌のこと

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「あふれる想いは和歌にするといい」という話の流れより 斎藤ミーティング

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