『精神のモジュール形式』(人工知能と心の哲学)について

著者

 ジェリー・フォーダー 1985年

心は二層でできている

『心』を入力系の「知覚」と、中枢系の「認知」に分けた。

入力系とは

入力系(知覚):視覚・聴覚・触覚などの独立したモジュールでできていて、それぞれカプセル化されて、互いに干渉し合わないという基本構造をもつ。

中枢系とは

中枢系(認知):基本構造を持っていないか、我々にはみえないようになっていて、思考・問題解決・想像力などを発現させていて、次第に知能をつくっていく。

※ 入力系は早くて配線がしっかりしているが、中枢系はカプセル化されないままに、特定の脳領域にあてがわれていない。そのかわり類推性(アナロジカル・シンキング)をひどく好むようになっている。

『アナロジカル・シンキング』とは

戦略的意思決定の際にアナロジー(類推)を用いて考える方法である。これにより、何を実行し、また何を実行しないのかという、戦略の質を高めることが出来る。 アナロジー思考という呼び方もある。

アナロジー(類推)とは

特定の事物に基づく情報を、他の特定の事物へ、それらの間の何らかの類似に基づいて適用する認知過程である。

問題解決、意思決定、記憶、説明(メタファーなどの修辞技法)、科学理論の形成、芸術家の創意創造作業などにおいて重要な過程であるが、論理的誤謬の排除が難しい場合も多く、脆弱な論証方法である。

アナロジカル・シンキングの例(成功の場合)

鉄鋼業界で新興のミニミルにビジネスを明け渡したUSスチールの教訓から、低価格帯で敗れないようセレロン・プロセッサーの販促を強化したインテル


「スーパーマーケット」という業態から発想を得て「金融スーパーマーケット」メリルリンチに育てたチャールズ・メリル


同じく「スーパーマーケット」から「トイザらス」や「ステープルズ」を生み出したチャールズ・ラザラス

アナロジカル・シンキングの罠

しかしアナロジーを用いることは表層的な類似点という危険に直面する。

ガス・電力の仲介業であったエンロンがブロードバンド市場に手を出したが、事業が異なり結果的に失敗したこと

フォーダーの「心」の話に戻すと

入力系の知覚だけでは、ガス会社がブロードバンド市場に手を出すことはないでしょう。それは「見た」「聞いた」「触れた」などの感覚は独立したモジュールでできていて、それぞれカプセル化されて干渉し合わないからです。

フォーダーは、「心」を2層に見立て、入力系はスイス・アーミーナイフのようなものだろうが、中枢系は、この世にまったく見当たらないものだと捉えました。

そして「心めいたもの」は、この2層のあいだからうまれたのではないか

ということが書かれた本…だそうです。

まとめ

こころは2層でできている

① 入力系:知覚(視覚、聴覚、触覚など)。それらは独立しており干渉し合わない。

② 中枢系:認知(類推性をひどく好む。問題解決、理論構成に役立つが論理的誤謬〈誤った評価からくるエラー〉の排除が難しい場合も多く。脆弱性に問題がある)

考察

瞑想やマインドフルネスでは、入力系『知覚』を大切にします。

知覚の段階で止めること、「見た」「聞いた」「触れた」のあとに現れる類推(アナロジカルシンキング)を深めないことが心の健康に大切であるというのが個人的認識です。

しかし、『こころ』は知覚と認知を切り離すことが難しく、『認知』があるから人は苦しむけれども喜びもあり、問題が解決されたり芸術家が誕生したりするのだと思いました。

(とはいえ、『知覚』で止めて心の安定を保ちたいです)

あまりにも難しいことに取り組んで、無理やりまとめました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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